Wednesday 5 December 2018

欧州モノノネ日記 その1

ずいぶんと久しぶりの海外。十年くらい前はアートの仕事で一年の半分くらい海外にいたのに。プライベートでほとんど旅をしないタチなので、海を越えるにはそれなりの目的がないと行動に移せない。

今年ノルウェーのオーディオショップでスピーカーの取り扱いが始まったこともあって、ヨーロッパのオーディオシーンを直に見に行くことにした。スピーカーMONOが海外でどのように響くのか、どんな評価を受けるのかを知りたくなり、初の海外営業を行う決心をした。海外市場の方が活気があるという噂も、実際に行って見ないと分からない。

オーディオの世界だけでなく、ヨーロッパの人たちがどんな日常を送っているのかも知りたかった。どんな顔してみんな街を歩いているのか、街の様相は変わったのか。そう、ヨーロッパの空気を久しぶりに肌で感じたかったのだ。

バタバタのスケジュールで、出発前日は徹夜で準備作業。時差ボケ防止には寝ないほうが逆に良いと自分を励ましながら、スーツケースにスピーカーを入れるための保護ケースを作った。ふたつのスーツケースはスピーカーと機材で完全に埋まってしまった。ヨーロッパでの防寒を考えながらバックパックに入れれる分だけ服と着替えをセレクトするのが難しかった。

朝4時半にふたり分とは思えない物量の荷物を車に積んで最寄りの駅に運んだ。妻に駅で待ってもらい、僕は車を家に駐車し、徒歩で駅に戻った。タクシー営業のない早朝だったので、思いついた苦肉の策。始発電車に乗って京都に行き、初めて「はるか」に乗った。

ゆったりとしたシートに座った途端、睡魔に襲われ、気がついたら関空の橋の途中。9月の台風がどれだけ凄かったかを目の当たりにした。出発3時間前の誰もいないカウンターでチェックイン。荷物を運びながら感じていた悪い予感が的中し、スーツケースは重量オーバー。慌てて、ビニールのバッグを購入して荷物を詰め直した。二度目のチェックインでは、バッチリ重さクリアで胸をなでおろした。

551の豚まんを食べて、空港の書店で未読の『スプートニクの恋人』文庫本を購入。気がついたら搭乗時刻が近づいていた。搭乗直前の一服を済まして、機内へ。席に着いたら、心地よい疲労感。ここまでで十分ひとつの旅を終えた気分。

(青柳)