Wednesday 20 May 2020

漱石先生とわたし

はじめての出会いは小学生のとき。私にとって縁がある土地で先生をしていたことがあるとかで旧居等ゆかりの場所があった。古い日本家屋や小説の舞台になった場所を訪れた。

思春期の頃、本を読んでみたがあまりよくわからなかった。はじめの一冊に王道のものではなく、かなり難解なものを選んでしまったせいか。(思春期っぽいな。)あとは教科書で読むくらい。すごいのはなんとなくわかるけれど、そこまで興味を持つこともなかった。

20代のころ、自ら望んでロンドンに住んだ。それなのに、到着後数カ月ほど鬱っぽくなってしまった。すごいスピードの英語、鬱々と冬に向かう空、実家をでていきなり海外に住んだこと。勝手に心の友としていた。(もうひとりは亡命中時代のカエターノ。)そのあと鬱から抜けるとロンドン生活を最大限満喫し、その気持ちを忘れてしまった。

そして、今。意外と読んでいなかったなと、ふと「猫」を読んでみて、あまりの面白さに驚いてしまった。約150年前に生まれたひととは思えない感覚。現代っぽいというか普遍的なのだろうか。そして作品のみならず評伝や研究書までも読みたくなってきている・・・。再発見できたという、なんだかうれしい気分。

(my)