Monday, 28 August 2017

自分の響きを聴く

WARP RECORDSのサイトに掲載されているリチャード・ジェームス(Aphex Twin)と元korgの高橋達也氏の対談が面白い。Korgの"Monologue"というシンセサイザーの開発に関わったふたりが音に関する様々な話題を語り合っている。

リチャードは開発にあたって、各鍵盤に対して個別にチューニングを設定できる機能(マイクロ・チューニング)をつけることを主張したそうだ。マイクロ・チューニングは、一般的な平均律とは異なる音律にすることもできるし、調律を国際規格である440Hz以外に設定することが可能になる。

チューニングを440Hzではなく432Hzにすると音楽の響きが変化するという話を聞いてネットで調べてみたことがある。世界的に「432Hz VS 440Hz」という論争があって、432Hz=善、440Hz=悪といった内容の記事がたくさん見つかる。音楽教育を受けたことが無い僕は、ただ「本当にそうなのかな。。。」という気持ちになってしまった。

リチャードの音楽制作におけるチューニングに対する発言がとても印象的だった。
―IT’S VERY SIMPLE, BUT DO YOU WANT YOUR MUSIC TO BE BASED ON AN INTERNATIONAL STANDARD OR ON WHAT YOU THINK SOUNDS RIGHT TO YOU?

音楽を世界的な基準に即したものにするか、自分の耳でいいと感じる音にするか・・・
世の中の価値基準ではなく、自分が感じる音を信じているからこそ、Aphex Twinの音楽は独自であり、タイムレスな輝きを放っているのだろう。

善悪や標準を超えたところで、自分にとって気持ち良い響きを追求するリチャードの姿勢にとても共感する。

(青柳)