Sunday, 24 June 2018

音楽の住む街

音楽との出会いは、人との出会いとよく似ている。
なんてったって、出会いは楽しいこと。

出会いを求めて自発的にレコード屋に行くこともあれば、ラジオでかかって思いがけず出会ってしまうこともある。
僕は記憶力に乏しいタイプなのだが、「音楽との出会い方」に関する思い出は、割と頭に残っている。
人と初めて会った瞬間って意外と覚えていませんか?特に自分にとって大切な人に関しては。

最近の音楽定額配信サービスにあまり関心がないのは、その音楽との出会い方が、僕には利便的過ぎて、味気ないから。ネットでCDを検索したら「これを買った人はこれも買っています」と教えてくれるのにも、どこかお節介さを感じてしまう。
それもこれも「音楽」を「人」のように思っているからだろう。

そう考えると自分のレコード棚が、僕の人生で出会った人々が住む「街」のように見えてきた。
僕にとって理想の街は、人種も性格も様々で、活気のある場所。
そんな街に住んだら毎日飽きることがない。

新しく街にやって来る人がいれば、たまに去って行く人もいる。
昔に一度だけ会ったことのある人に再会して意気投合することもある。
生きるうえの指針のようなことを教えてくれた先生達がいる。

棚からあふれるほど沢山のレコードがあるけれど、日常的に聴くものはとても少ない。
それらはおそらく僕の家族のような音楽なのだろう。
いつも安心して聴ける音楽。

「出会いは縁」。
それが全て。

(青柳)