Tuesday 28 February 2017

ガラパゴス

去年、携帯電話をガラパゴスといわれるものにかえた。結局iphoneもほとんど通話か短いメールをするばかり。勿体ないなーと思っていた。携帯電話をもたないという選択肢もあったけれど、仕事でも使うしその他もろもろの理由によりそれは選ばなかった。

会社で支給されるようなビジネスっぽいルックス。簡素な機能。そして小ぶり。

結果、めっちゃ気に入ってます。早くこれにしてれば良かったー。わたし向き。(難点;外出先で着信音がなり、私のやと思い出ようとしたらそばにいた見知らぬ会社員が電話に出ていてはずかしかった。少し古めの着信音ゆえ、自分のだと勘違いしたのでした。)

(愛用携帯。写真真ん中)
 
(my)

Monday 27 February 2017

ドーナツ好き


甘い物が特に好きというわけではないが、「ドーナツ」という言葉を聞いただけでなぜかワクワクしてしまう。
いつからドーナツ好きになったか記憶にないが、大人になってからだと思う。
大人の特権である「coffee & cigarettes」との絶妙な相性もあるのかもしれない。
でもやっぱり7インチレコード(ドーナツ盤)のことを連想してしまうのがトキメキの決め手のような気がする。

*写真はマイフェイバリットドーナツの上位にランクする弘前マタニのドーナツ。

(青柳)

Sunday 26 February 2017

えび豆

つい数年前まで作る料理は西洋料理中心だった。イギリス/スペイン/イタリア料理等々。オーブン料理にスパイスを多用したもの。洋書の料理本を買ってつくることもあった。あるとき「あまり和食をつくらないね」と言われはっと気付いた。そのときは図星でむっときてしまったけれど、そういえばそうだなと。そして和食の料理本をみるようになった。

それから数年。ひょんなことから和の古民家に住むことになり(それも人生はじめての経験)、和の食材豊かな彦根に越して来て、逆に和食しかつくらなくなってしまった。漬物まで漬け始めることに。そしてそれがとても美味しく感じるようになったし、風土に合っていると思う。

郷土料理は「つくってみよう滋賀の味」滋賀の食事文化研究会編を参考に、いろいろ試してみている。今回は琵琶湖でとれるすじえびがスーパーで売っていたので、えび豆をつくってみた。大豆も滋賀産。


(my)

Saturday 25 February 2017

horaana感


夜のhoraanaはとても暗い。
最初は夜ひとりで部屋にいると正直怖かった。
この家に住んで一年経ち、この暗さに妙に安心するようになった。
陰翳礼讃が身にしみてきたのかな。
古代の洞穴生活って意外と悪くないのかもしれない。

(青柳)

Friday 24 February 2017

ある感情

憧れという感情がだいぶんなくなってきたように思う。たぶん憧れる前にできることやりたいことはやってみようという体験主義になってきたからかもしれない。(以前は頭だけで考えてなかなか行動に移さなかった。)

その分好奇心という感情がだんだん増してきた。いろいろ試してみたい!昔は考えられなかったものが好きになることもある。(例;鮒寿司)

憧ればかりが先行していた思春期に流行っていた曲がラジオから聞えてきてふとそんなことを考えた。そして一緒に口ずさんだ。吐息でネット。(今はラジオばかりだけれど、そのときはかなりのテレビっこだった。)

(my)

Thursday 23 February 2017

MUSIC TRAVEL


毎週楽しみにしていた坂本慎太郎さんの『FLAG RADIO』が昨日終わった。
AからZまで、週ごとにアルファベットひとつを頭文字に持つアーティストの曲だけをひたすら掛けるという番組だった。
(坂本さんのしゃべりは番組の最初と最後のアナウンスだけでした。)

毎回かなりツボな選曲で、リアルタイムでインスタグラムにアップされるジャケット写真を見ながらラジオを聴くのがとにかく楽しかった。坂本さんの家にお邪魔して、レコード棚を見せてもらいながら、おすすめレコードをかけてくれているような至福の時間。

そそられる謎レコードのジャケット写真を見ていると無性にレコード屋さんに行きたくなってしまう感じだった。かなりインパクトのあるジャケットも多かったので、勝手に脳にビジュアルがインプットされているだろう。先日訪れたヒト族レコードで棚を漁っていると、突然ソバージュのURSZULA DUDZIAKさん(本日のブログ写真)に睨まれた時はかなりドキッとした。

この曲いいな、と思ってインスタグラムをチェックしたら自分が持っているレコードということも結構あった。高校生の時買ったリンゴ・スター "GOODNIGHT VIENNA" にヴァン・ダイク・パークスもやった "OCCAPELLA"(アラン・トゥーサン作)のカバー曲が入っているなんて全然知らなかった。忘れていたようなレコードがにわかに愛聴盤になるなんて、ものすごく得した気分。

とにかく、「音楽っていいなー」って気持ちにさせてくれる番組だった。
最終回最後のSHAGGSの曲を聴きながらなんとも切ない気持ちになった。

好きな音楽を探し聴くことは、終わりのない旅のような気がした。
遠くに来たと思ったら出発点に戻っていたりもする、行きあたりばったりの一生つづく旅。

(青柳)

Wednesday 22 February 2017

立体的なキー

電卓で計算するときも、パソコンで文字を打ち込むときも、ペタッとしているキーより立体的なものが好き。音から感触から仕事をしてるぞ!という実感を感じる。ささいな喜び。

カメラのシャッターを切るときも思うけれど、平面的なタッチパネル式のものはなんだか現実感がないように感じてしまう。(よってiphoneとかで写真をとるのが苦手なのかも。)

昔めちゃすごいスピードでキーボードをたたいてたんっとなんかのキーを押したら、ぱんとそのキーがとれて笑われたのをふと思い出した。自分でもまんがみたいで面白いなと思った。

(my)

Tuesday 21 February 2017

そのモノらしさ



最近いろいろなところでアナログレコードの話題を目にする。
データで音楽を聴くことの便利さ、そして音楽がタダになってしまったことの味気なさへの反動もあるのだろう。

それにしても、アナログな物は何ともしぶとい。
レコードをはじめ、カセットテープ・オープンリール・SP盤も近年再評価されている。
音質を追求するテクノロジーの歴史の過程で葬られたようなものが突然復活する。
その事実がとても興味深い。

人を惹き付けるものは、完璧なものよりも「そのモノらしさ」なのかもしれない。

(青柳)

Monday 20 February 2017

アーバンサウンド70年代後半

今朝、AMラジオで大貫妙子さんの曲が流れていた。とても好みだったので調べてみるとミニヨンというアルバムに入っているらしい。78年の作品。(同じラジオ番組で先週このアルバムのディレクターの牧村さんが出演なさっていた。とてもすてきなはなしばかりで心ときめいた。)

80年代(特に84/85/86年)が好きなのだが、音楽に関しては70年代後半アーバンサウンドが好みだ。大人っぽくて、なにより音の質感がいい。

その時代のレコードでだいすきなものは、いしだあゆみのアワー・コネクション。(アナログレコードで欲しいな・・・。)70年代のいしだあゆみと80年代の小林麻美がおしゃれないい女という感じ。

 
(my)

Sunday 19 February 2017

ゆきのび


ようやく日陰や屋根の隅に残っていた雪がほとんど姿を消した。
それでもしぶとく残っている雪を見てみると何ともいえないドンクサイ形状をしていた。
日光で解け、雨によって削られた末に偶然生まれたかたち。
そう思うと人為的には作れない造形美を感じた。
たぶん他の人が見たら、ただの残り雪でしかないのだけれど。
「美」は個人的な思い込みでよいのだと思う。

(青柳)

Saturday 18 February 2017

狂った一頁 京都文化博物館フィルムシアター

東京国立近代美術館フィルムセンターの常設展で5分ほど抜粋された映像をみて全部みてみたいと思った作品。監督:衣笠貞之助 原作:川端康成。

はなしのすじより、冒頭のタイトルやあまりはなしに関係ないずっと踊っている女性。そういったものが印象に残った。とにかくモダン。大正末期~昭和初期って気になる!

好きな映画ってほとんど白黒のもの。おとぎばなしみたいだから。

(my)

Friday 17 February 2017

NIGHT MUSIC


夜しずかに聴きたい音楽。
彦根に来てから夜更かしはめっきり少なくなってしまったが、たまには夜の世界を楽しむ。

Arthur Russell "World Of Echo"には闇が詰まっている。
小出力の真空管アンプで、ボリュームを絞って細やかな音のつぶを空間に浮かべる。
深くエコーのかかったボーカルとチェロが僕の夜に解けていく。

MONO開発時に出来たての試作品スピーカーを深夜によくリスニングしていた。
小音量で聴くからこそ感じられる音楽の輝きをその時発見した。

夜には何か特別なものを伝える力があるのだろう。

(青柳)

Thursday 16 February 2017

この季節の定番

 
昨日のブログをうけてわたしもこの季節に聴きたくなる音楽を考えてみた。

BEN WATT"north marine drive"

はじめて聴いたのはたぶん高校生くらい。その頃は地味なアルバムだと思っていた。
歳をとりどんどん好きになってきている。今は地味だからこそいいと思っている。

(my)
 

Wednesday 15 February 2017

冬の定番


冬に聴きたくなる音楽。
NICO "CHELSEA GIRL"
初めて出会ったのが20歳くらいだから、もう20年以上のお付き合い。
聴かない冬は今までなかったと思う。
孤独を感じる音楽だけど、それだけじゃない。
歳をとるほどに身に沁み入るようになってきた。
エバーホワイトな音楽。

(青柳)

Tuesday 14 February 2017

台所の音

幸田文の○○帖シリーズをときおり読みたくなる。その中でも特に「台所帖」。

これを読んで、暮らしの特に台所でたてる音について気にするようになった。
菜切包丁と木製まないたが奏でるものとプラスチックのものではやはり違う。
MONOスピーカーで音楽を聴くようになってなおさら小さいささいな音の美しさに気付くようになった。

 
(my)

Monday 13 February 2017

デンタルサウンド

歯の詰め物が取れてしまって、歯医者に通っている。
診療椅子に座って治療を受けているときいつもびくびくしている。
ガマン出来ない程の傷みではないことが分かっていても無性に落ち着かない。
最大の原因は、その音だと思う。
形状の異なるドリルの出す音は高音から低音まで様々だ。
耳で聞くというよりも骨を伝わってくる音。
空気を振るわすことなく直接体に入ってくる音に得体が知れない怖さを感じてしまう。
骨伝導ヘッドフォンの音ってどんなものなんだろう?
心地よい音楽が聴けるのだろうか?
治療を受けながら気晴らしでそんなことを考えていた。

(青柳)

Sunday 12 February 2017

季節感

ここに暮らすようになって、二十四節気と七十二候が気になるようになってきた。
たまに仕事の合間にチェックして、新しい言葉を覚えている。

ちなみに今日は立春・黄鶯睍睆(うぐいすなくという意味らしい・・・)だそうだ。外は大雪であたり一面真っ白なのだけれど。


(スミス記念堂からみる雪の彦根城。幻想的なライブでした。)

(my)

Saturday 11 February 2017

ラジオの恩恵


できるだけチューナーでラジオを聞くようにしている。
FM放送は特に音が良いからだ。インターネットラジオに慣れた耳にはとても新鮮に耳に響く。
ダイヤルを回してチューニングする時のノイズも不思議と心地よく感じる。

先日滋賀のFM放送に出演した。
スタジオでの生放送だったので緊張したけれど、自分の声が今電波に乗っているという事実がとにかく嬉しかった。

刻一刻と流れて行く電波をキャッチして聞いているという感覚がラジオの好きなところ。
自分の意志とは関係ない、偶然の出会いも多々ある。

スピーカーMONOを開発していた時、どんな音楽でも良く鳴るように、ラジオをつけっぱなしにして試聴を繰り返した。自分の好きな音楽だけだとどうしても偏ってしまうからだ。
さらに、人の話す声が頻繁に流れることがスピーカーの響きの調整にとても役立つ。
人は声のニュアンスに特に敏感。
毎朝聞いているおなじみのラジオパーソナリティの声が別人のようだったら一日が始まらない。

(青柳)

Friday 10 February 2017

雪景色

朝から雪が降り続いている。空一面グレーがかった空。
いつも静かだけれど、あたりはますますしんとしている。
音もあまりない中降り積もる。積雪があるときの空気感が分かるようになった気がする。

もちろんあっというまにスノーキャラ化現象。急いで買出しに出かけた。
http://horaaudio.blogspot.jp/2017/02/blog-post_3.html


古い日本家屋の窓から振る雪を眺めながら、Masayoshi Fujita『アポローグス』を聴く。
この季節の楽しみ。

(my)

Thursday 9 February 2017

量より質


ジョン・パウエルさんが書かれた『響きの科楽』という本が面白い。
音や音楽に関する様々な話題がユーモアたっぷりの分かりやすい文章で説明されていく。専門知識を得ようとする人よりも普通の音楽好きの方にぜひ読んで欲しい良書だ。

「音の大きさ」について書かれたところがとても印象的だった。
楽器1台による演奏と10台の演奏を比較すると音量は2倍にしかならない。
脳は音を単純に足し算しないそうだ。
生きて行く上の安全策として、敵が忍び寄る小さな音もしっかり聞こえないといけないし、落雷などのとてつもなく大きな音を聞いても耳が壊れないように人間の体は出来ている。
「わたしたちの耳は、小さな音ははっきり聞こえるが、音量が増すとその影響力が徐々に減少するように設計されている。」(P.124)そうだ。

過度に大きな音量で音楽を聴くと聴覚保護回路が働いて音をマスクしているということだ。
音楽をより深く聴くという目的においては、これでは逆効果だ。

スピーカーMONOで音楽を聴いていると必要以上に音量を上げたくなることがあまりない。
小さな音でも繊細な音をくっきりと再生するのが得意なスピーカーなので、空間に適したほどほどの音量で十分満足するのだ。家庭内で快適に音楽を楽しむ場合、それほど大きい音量は必要ないのではないだろうか。
「量より質」ということが言えるのかもしれない。

でも、「質より量!」と開き直って爆音で音を体で浴びたくなる時が僕にもある。
家でそんなことしたってたかが知れているので、そんな時はライブやクラブに行ったほうがよっぽど気持ちいい。

(青柳)

Wednesday 8 February 2017

カメラについて

このブログをはじめたこともひとつのきっかけとなって、コンパクトデジタルカメラを手に入れた。旧式だけれど気に入っている。

カメラは厚みがあるしシャッターを押す実感がいい。この感覚、久しぶりに思い出した。


(my)

Tuesday 7 February 2017

何でもござれ


ブログ書きながら聴いているのは、先日京都のworkshop recordsで購入したHowling WolfのLP。
今まであまり縁がなかったジャンルの音楽を聴くのが最近とても楽しい。
スピーカーMONOを使い始めてから音楽の細部が聴き取れるようになったからかな。
この調子だと聴かず嫌いなものが無くなってしまいそう。

(青柳)

Monday 6 February 2017

日曜の夜の楽しみ

日曜の夜、21~23時にかけて湘南ビーチFMを聴くことが楽しみ。
この日はいつもより夜更かしをする。

"SEIKO presents Hits Around The Clock"21:00-22:30
基本的には50年前のビルボードチャートトップ10を聴く番組。
昨日のパートナーは宮治さん。(3分の1の確立。一番楽しみ。)
California Nights - Lesley Goreという曲が好みだった。

"湘南カチート"22:30-23:00
語りも最高。美しい日本語。昨日は比較的新しいものがかかっていた。(といってもど昭和)
野坂昭如/マリリンモンローノーリターンという大好きな曲がかかった。(ソクラテスの歌も。)

ラジオっていいなと思う。

(my)

Sunday 5 February 2017

ベールの正体


雨降る日曜日の朝、みそ汁を作りながらいつものように小さなラジオでAM放送を聞いていた。
ベートーベンの『大公トリオ』がかかった。
それもカザルス、コルトー、ティボーの音源だ。

『大公トリオ』を知ったのは、村上春樹の『海辺のカフカ』だった。
小説を読んでいた時は想像するだけで、曲を聴くことはなかった。
曲のことをすっかり忘れてしまったころにレコードを偶然見つけた。
(忘れっぽい僕にとって、レコードは「リマインダー」として機能する。本当にありがたい。)

カザルス、コルトー、ティボー三人による演奏はある種のベールを被っている。
それによってこの世のものとは思えない魔法の音楽となっている。

このベールの正体って何?
1928年録音ゆえの音域の狭さもそのひとつだと思う。
ハイファイでクリアな音だけが「よい音」でないことを教えてくれるレコードだ。

他にもベールの正体があるような気がする。
「品格」のようなものまで身に纏っているのが気になるのだ。

答えはレコードジャケットの天使だけが知っているのかもしれない。

雨音混じりながら聴くAM放送によるローファイ『大公トリオ』。
偶然電波をキャッチしているということもあって、特別な音楽体験となった。

(青柳)

Saturday 4 February 2017

ぼんち 京都文化博物館フィルムシアター

映画は映画館で大画面でみるのが好き。終了後、喫茶店にて映像や内容を反芻しながらゆっくりコーヒーを飲むのも楽しい。そして本屋に寄ったり街をぶらぶらする。

長い間みたいなと思ってみそびれていた「ぼんち」をみる。スターの競演で豪華でモダンな作品だった。ぽん太(若尾文子)の和傘の桃色がきれいだった/山田五十鈴すごい/わたしの好みは草笛光子。観終わって、再読したくなった本があったので図書館に行って借りてきた。

田辺聖子「姥ざかり」シリーズと和田夏十の本。「姥ざかり」シリーズは、船場にまつわる話なので。和田夏十は一時期繰り返し読んでいた。どちらも久しぶり。今現在、どんな感想を抱くのだろう。

(my)

Friday 3 February 2017

スノーキャラ化現象


先日彦根で記録的な大雪が降った。
地元で生まれ育った年配の人に聞いても幼少の時以来というくらい珍しいことだったらしい。

凄い量の雪がどんどん天から落ちてきた。
雪の風情を感じていたのは最初だけで、あまりに景気がよいので笑えてきた。

少し晴れ間になったので外に出てみると、絶句するほどの「異世界」ぶり。
全ては真っ白で、いつも目にしている物たちの輪郭が変形している。

アート化しているというか、キャラ化しているというか。。。
何でも白くて丸くなると可愛くなることに気がついた。

世界を有無を言わさず一斉に変えてしまう自然の力に圧倒された。
「ニッポン一億総キャラ化プラン」とか言われても誰もいうこと聞かないだろうなー。

(青柳)





Thursday 2 February 2017

自己紹介

今日からこのブログに参加します。

寅年女/活字中毒者。最近大事だと思っていることは「地道にこつこつ」です。

スタンダードでベーシックなものが好きです。(それかふりきっている唯一無二なもの。)

どうぞよろしくお願いいたします。

(my)

Wednesday 1 February 2017

ここからはじまった



高校生のころ、神戸に古着を買いに行くのが好きだった。
買い物よりむしろ三宮・元町の高架下や街に点在する古着屋さんをひとりで徘徊することが何より楽しかった。

中古レコード屋という存在を知ったのもその頃。
好奇心である店に入ってみたら、見たことのない大量のレコードが店内に溢れかえっている。
どこを見たらよいのかさっぱり分からなかったが、バーゲンの箱が床に置いてあるのを発見した。

「ビートルズのレコードが500円で売っている!」
箱を隈無く見てみたら、他のアルバムも発見した。
掘り出し物というよりも国内盤のビートルズはそれくらいが相場のようだった。

中学1年の時に貯めていたお年玉でミニコンポセットを大阪の日本橋で購入した。
スピーカー、アンプ、チューナー、CD、カセットデッキ、イコライザーがセットになった物だ。
ターンテーブルはオプションだったが、フルセットにしたいがために選んだ。
まけてもらったけど、全部で20万円以上したと記憶している。
その頃から一気にCDの世の中になっていった。
一枚もレコードが再生されることなく、そのターンテーブルはコンポの最上段で埃をかぶったままだった。

ジャケットのポップさに惹かれて買って帰ったビートルズの『ヘルプ!』に初めて針を落した。
「ポッ」という針がレコード盤に乗っかる音に続いて、音の塊がスピーカーから飛び出した。

今まで聴いていたサウンドと何かが違った。
高校生の自分には理由はよく分からなかったが、それ以降神戸に行く度にビートルズの中古レコードを買うようになった。

思い返してみれば、それは「音の体温」を感じた瞬間のような気がする。
ノイズも含めたアナログレコードの音、そしてビートルズの60年代サウンドの温かさに取り憑かれたのだ。

寒い冬の日にスピーカーMONOで久しぶりに『ヘルプ!』を聴いてみた。
冒頭の一音を聴いた瞬間、高校生の時体験したあの瞬間が再び生まれた。
自分で作ったスピーカーでこのレコードを聴くことになるなんて、人生何が起こるかわからない。

(青柳)