Wednesday, 8 August 2018

夏の光

horaanaの建築は、約150年前に設計された。当時の建物は、夏の気候を快適に過ごせることに重きを置いて建てられていたらしい。というのも、夏の強い太陽の光、湿気は、人にとってはもちろん、建物にとってもダメージが大きいからだ。寒いときは、人は火をおこし、衣服を着込み暖をとったらよいが、冷房の無い時代において、暑さ対策でできることは限られている。

それにしても、今年の暑さは物凄い。この状態がこれからの標準になったらどうしよう。夏の服装や働き方も変わって行くんだろうな。ビジネス短パンが認められる日も近い。

今年の気温は150年前にはもちろん想定外だろうが、それでもhoraanaは比較的快適だ。クーラーが無くても、全ての窓や戸を開けっ放しにすると、気持ち良い風が吹き通る。茅葺きの断熱効果で屋根からの熱は無いし、土間はひんやりとしている。何より涼しく感じるのは、薄暗い部屋の明るさかもしれない。建物の向きを太陽の動きに合わせて設計しているため、光が過剰に室内に入ることはない。気持ち良い朝日が少し差し込む以外は、直射日光は遮断されている。

「明るい」ということは現代においては、「良い」ことだ。南向きに大きな窓を開け、真っ白な壁に包まれて、快活な室内空間を演出する。明るい部屋は冬はとても気持ち良い。おそらく、日本の現代建築は、北部西洋文化の影響が強いのだろう。一年のうち半袖で生活する期間がこんなに長くなった現在、そろそろ、アジア・アフリカなどの夏向け建築を参考にした方が良いのかもしれない。

夏の太陽光といかに付き合えば良いのか、昔の人は智恵を持っていた。自然を知ることは生きること直結していた。現代人が学ぶところがたくさんあると思う。

(青柳)