意外と簡単に家でコーヒーが焙煎できると聞いて自分でもやり始めた。今年の冬の雪が混じるような寒い日だった。
金網でできた籠状のフライパンの中に初めて見た緑色をした生のコーヒー豆を入れて、ガスコンロの上でよく分からないままひたすら振り続けた。パチパチと音がして、コーヒーの焦げる匂いが漂ってきた。あっと言う間に真っ黒になってきて、慌ててコンロから離した。試しにそのまま豆をかじってみた。なんともいえない強いコーヒーの香りが口の中に広まった。
何でも初めて自分でやったときのことは強く記憶に残っている。初めてのスピーカーから空間に広がった音を思い出す。
半年以上経過して焙煎のコツも少しづつ掴んできた気がする。豆は今のところブラジル産だけを使っている。世界中の産地から選ぶのは迷ってしまうけど、音楽を一番感じさせる場所という理由で。ブラジル・ミナス地方の豆が豊富なのが嬉しい。
10分以上豆を振り続ける作業はさすがに腕が疲れてくるけれど、脳内でブラジル音楽を再生してそれに合わせていたら結構楽しいです。(ミルトン・ナシメントは定番)調子に乗り過ぎたら度を越した深煎りコーヒーになってしまうので注意が必要。
(青柳)