オーディオ機器の中で特殊なポジションにいるからだろう。
各オーディオ機器の共通言語は電気信号。
あたえられた信号を解読して、自分の仕事をして、その結果を次の機器に信号として受け渡す。オーディオの最後に位置するスピーカーの仕事は、信号を解読し、空気を振るわせ音にする。
最後に相手にするのが「空気」というつかみどころのない存在というところが他のオーディオ機器との決定的な違いだ。ある程度の性質は分かっていても、その行動は目に見えないし、自由自在に変化する。
最後に相手にするのが「空気」というつかみどころのない存在というところが他のオーディオ機器との決定的な違いだ。ある程度の性質は分かっていても、その行動は目に見えないし、自由自在に変化する。
スピーカーは通訳のような立ち位置なのかもしれない。
共通言語である電気信号を全く知らない異星人のような存在である空気に、ジェスチャーで意図を伝えるという難しい仕事。
イヤホンやヘッドフォンも同じ役割だが、相手にする空気の量が圧倒的に少ないし、空気は密閉されている。イヤホン・ヘッドフォンは、室内の少数の異星人と向き合って通訳している状態、スピーカーは野外に集まった圧倒的大人数の異星人を前に壇上で通訳している、しかもみんな好き勝手な行動をしている。
異星人に通訳をするという特殊な仕事なので、スピーカーによってその結果はかなり異なってくる。同じ結果になることはまず無いと思った方がよいのかもしれない。
大げさなたとえ話だが、こうやって想像するとスピーカーの仕事の難しさがひしひしと感じられる。かなりセンスが問われる仕事だなと思う。
(青柳)